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●2005, NO.6

情報源:ジェローム・チョウ 2000年2月7日 掲載日2005.8.8
小春日和の日に、セントラルパークを散策している自分を想像してみて欲しい。毎年非営利団体によって補修と維持管理用の資金が数億円規模で調達され、常にベストの状態を保っている公園の様子が頭に浮かぶだろう。しかし、ほかの公共スペースも同様に潤沢な資金に恵まれているのだろうか?民間団体による資金調達は、富める公園とそうでない公園の二極化を促しているのではないだろうか?
ことの真相
ニューヨーク再生のシンボルとして、セントラルパークに勝るものはない。そのセントラルパークも1970年代に市の財政が破綻を来していた頃には、マンハッタンの最も有名な公共スペースとはいえ、国の厄介ものだったことがある。その後、数多くの補修プロジェクトを終えた現在では、年に2千万人の人々が訪れる全米の公園管理者たちの羨望の的になっている。羨望される理由の一つは資金量である。民間の非営利組織であるセントラルパーク管理委員会が1980年に設立されてから、毎年2億ドル(約220億円)の資金を調達し、公園の改善整備のための費用に充てている。今では単なる慈善団体の枠を超え、日々の管理作業を徐々に受け持つようになっただけでなく、年間管理費用である1670万ドルの75%を調達し、150人に及ぶ公園管理職員に給与を払っている。
ニューヨークでは、公共予算総額の0.44%を公園のために使っている。これは、アメリカのほかの主要都市の中では最も低い比率である。多くの人々にとって「公園」と「公共」は同義語なのかもしれないが、実際には民間がその資金負担をするケースが増えてきている。市の独立予算局の調査によれば、公園のための公的支出金は1987年の218百万ドル(約240億円)から、1996年の151百万ドル(約166億円)へと31%も減少している。同時期に、民間による支出は5百万ドル(約5億5千万円)から18百万ドル(約20億円)へと3倍以上に増加している。公園の恩恵に与っている見返りとして、近隣の富裕層からの寄付や企業からの資金が「彼らの」公園のために集まっているのである。市は、そのような地域住民による援助や民間資金の導入を全ての地域で促進していきたい考えで、それはマンハッタンにあるような有名な公園については、実際にうまく機能している。ただ、ブロンクスやクイーンズにあるような公園については公共予算の削減が直接的に響いて、悪い状態になりつつあるのも事実である。
市当局では、より効率的な運営によって、民間資金の導入を図ることが可能であり、またその効果として、セントラルパークに見られるように、全ての公園の状態が改善されていくであろうと考えている。「この流れは広範囲に拡がっていくことになるだろう。」と語るのは公園局長のヘンリー・スターン氏で、公的文書においても公園の民営化を強く望むという総括を発表している。いくつかの公園において、公園の民営化が予想を上回る成功見せたおかげで、行政当局の中で公園予算の増加要求を唱える人間は誰一人としていなくなっている。
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